金券類を用いた株主優待の実証分析

論文要旨

 本論文は企業が独自に実施している株主優待制度で、クオカードやギフトカードといった金券類の優待内容が、他の優待内容に比べて株価により強いプラスの影響を与えることを実証し、近年増えている金券類の優待が投資家から高い評価を受けていることを示唆するものである。
 株主優待制度には法的な規則がなく、企業が独自に設定できる制度であり、主に個人投資家を想定したものである。株主優待を実施している企業は年々増加しており、2018 年 9 月末時点で 1,450 社と過去最高となった。優待内容も多様化しており、自社製品・サービスだけでなく、クオカードやギフトカードなどの金券、寄付など様々な内容が存在している。そして、様々な優待の中でも金券類を優待内容とする企業の数は特に大きく増加している。
 砂川・鈴木(2008)では、株主優待を導入することが投資家をひきつけ、株価の上昇につながることが実証されている。しかし、優待内容が多様化している近年の状況から、すべての優待内容が投資家にとって魅力的なものとは考えにくい。金券類の優待が大きく増えていることから、金券類は投資家から好まれやすいのではないだろうか。本論文はこの疑問を出発点とし、多様化している株主優待の中で特に金券類を優待内容とする企業が増えている背景を考察することを目的とする。
 本論文では 2009 年から 2018 年の 10 年間に株主優待制度を導入した企業を用いて、砂川・鈴木(2008)を参考にイベントスタディを行った。まず、株主優待を導入した企業全体で検証を行い、株主優待が株価に影響を与えることを検証した。その次に株主優待を導入した企業を「クオカードやギフトカードといった金券類を優待内容としている企業」と「金券類以外を優待内容としている企業」の 2 つに分類し、金券類とそれ以外の優待で株価に与える影響にどのような差があるのか検証を行った。
 検証の結果、株主優待の導入は株価にプラスの影響を与えること、そして「クオカードやギフトカードといった金券類を優待内容としている企業」の方が株価、つまり企業価値により強い影響を与えるという結果になった。

あとがき

 宮川ゼミで過ごした 2 年間は大学生活の中で最も濃い時間でした。ディベート大会、企業分析、CORE 論文、三商大、阪大との合同ゼミ、卒業論文作成、夏合宿、冬合宿とイベントがたくさんあり、あっという間に 2 年間が過ぎてしまいました。チームで夜遅くまでラーニングコモンズやアカデミックコモンズで論文を書いたり、パソコン作業を分担して行ったり、今でもその時のことを鮮明に思い出すことができます。作業が思うように進まないことや、連日の作業で疲れることもありましたが、途中でやめずに最後までやり切れたのはゼミの仲間がいたおかげでした。ゼミで学んだこと、得たことは数多くありますが、その中でも一番はゼミの仲間だと思っています。
 卒業論文は CORE 論文と違い、一人で書き上げなければならないので、書き始める前は 2万字も書ききれるのか不安でした。テーマを決め、データを集めて分析していく作業を一人でこなすのはとても時間がかかり、データの取り方を間違えた時や、思うように作業が進まない時は、嫌になって逃げたくなることもありました。卒業論文を書き終えた今は、一人でこれだけの長い文章を書くことができたことに、大きな達成感を感じましたし、やればできるのだと自信がつきました。また、卒業論文の作成を通じて、読む人にわかりやすい文章を書くことの難しさを学ぶことができました。何日も何十日も一つの文章を書くことに頭を悩ませた経験はこの先も忘れないと思います。
 卒業論文のテーマである株主優待についてですが、私は自社の製品・サービスを使うからこそ優待としての意味があると思っていたので、金券類の方が株価によりプラスの影響を与えるという結果が出たときは複雑な気持ちになりました。金券類を優待とするよりも、増配の方が公平な株主還元でよいのではないか、金券類を配ることが企業にとって本当に意味のあるものなのか、金券類を配り続けることが今後も株価にプラスの影響を与えるのか、といった疑問が未だに残っていますし、優待がブームとなっている今だからこそ、企業が優待を実施する目的を見直す必要があるのではないかと思います。もし株主優待に興味を持った後輩がいれば、このテーマについてより深く研究をすすめていただけると幸いです。
 これから論文を執筆する後輩に伝えたいことがあります。まず一つは、計画的に卒業論文の作成を行うことです。一日でどこまで作業を進めるのか、いつまでにどこまで作業を終わらせるのかについて計画を立てると、その日に何をしなければならないのかを把握しやすいため、効率よく作業を進めることができると思います。また、データはこまめに上書き保存するほか、USB だけでなくパソコン本体やクラウドなど複数のデバイスに保存しておくことも大切です。
 そして、自分はなかなかしてこなかったことですが、先生に相談し、こまめに添削してもらうことを一番おすすめします。自分の考えを人に説明することで、内容を整理でき、おかしな点に早く気付くことができるほか、考え方がまとまることで、卒業論文の執筆がはかどります。自分の納得できる卒業論文を書き上げるためにも、こまめに相談に行くことが一番大切だと思います。
 一人で長い文章を書ききることは経験がなく、根気のいる作業ですが、書き終えたときの達成感を後輩の皆にも味わってほしいです。
 卒業論文を書き終わり、大阪市立大学を卒業するまで残り数ヶ月となりました。学生生活がもうすぐで終わり、社会人として 4 月から働きます。今まで育ててくれ、大学に 4 年間通わせてくれた両親に感謝の気持ちを伝えたいです。しんどい時も辛い時もいつも支えてくれたお父さん、お母さん、今までありがとうございました。また、2 年間多くの時間を共に過ごし、お世話になった宮川ゼミ 7 期生の皆、ゼミの先輩方の皆様、今までありがとうございました。
 最後になりましたが、貴重な経験をできる場を数多く作っていただき、時に厳しくも、最後まで見捨てずに指導してくださった宮川先生にとても感謝しています。ゼミを通じて、コーポレートファイナンスの学びだけでなく、これから社会に出ていく身としての行動や考え方について、多くのことを教わりました。2 年間最後まで熱いご指導ありがとうございました。大阪市立大学商学部に入学し、宮川先生と出会い、そして先生のもとで学ぶことができたことを嬉しく思っています。たくさんの思い出があるゼミ生活がもうすぐ終わると思うと寂しいですが、ゼミでの思い出を糧に 4 月から頑張って働いていこうと思います。今まで本当にお世話になりました。ありがとうございました。

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