ファミリー企業における企業パフォーマンス向上のメカニズムに関する実証研究

論文要旨

本研究はファミリー企業の創業家によるどのような影響がどのようなメカニズムによって企業パフォーマンスを高くするのかを解き明かすことをテーマとした実証研究である。ファミリー企業とは、企業の創業者あるいは創業家が大株主として株式を所有しており、創業家から選出された経営者がトップを務める企業のことである。すなわち、ファミリー企業は経営者が企業の筆頭株主でもあることから創業家以外の株主である第三者株主からの監視が弱くなり経営者が私的便益の追求に向かいやすいというコーポレートガバナンス上の問題があるとされている。株主が経営者を監視することがより一層求められるようになった現代においてこの問題は深刻である。しかし、不利な立場にあるとされるファミリー企業は実際に数多く存在していることからファミリー企業には問題があるにしても何らかのメリットにより企業パフォーマンスを高めることを可能にしていると考えられる。

本研究は数種の理論に依拠してファミリー企業が抱える問題や競争力の源泉となるメリットを明らかにする。Jensen/Meckling (1976) のエージェンシー理論から所有と経営の一致による株主から経営者への監視の弱さを原因とするファミリー企業の問題を認めた上で、Myers (2000) の Outside Equity を応用してむしろ経営者の監視が弱いという経営の自由度の高さが経営にポジティブな影響を及ぼすという議論を展開していく。そして、エージェンシー理論の枠組みでは説明することのできないファミリー企業の経営の自由度に着目することで、ファミリー企業独自のメリットが生み出される論理を Barney (2001) のリソース・ベースド・ビュー (resource based view of the firm) の観点から構築する。

本論文では以上の理論に依拠し、またファミリー企業のこれまでの研究で明らかにされてきた知見に沿って、ファミリー企業の企業パフォーマンスが高くなる新たなメカニズムを論理的に導き、創業家の影響が大きいほど企業パフォーマンスは高まるという本研究における仮説を検証する。結果としてファミリー企業は非ファミリー企業よりも収益性が高いこと、そして相応のリスクを負っているということが分析より判明した。すなわち、経営の自由度の高さからファミリー企業の経営者は収益を高めるためにリスクを負ってでも企業パフォーマンスを高める投資先へ投資を行っていることが分析結果として表れているといえる。

あとがき

宮川ゼミに入門してから約 2 年。この 2 年はあっという間に過ぎてしまったので駆け抜けてきたという印象がありますが、卒業を前に立ち止まってゼミで過ごした日々を振り返ってみるとこれほどまでに密度の濃い時間はなかったと思いますし、数々の学びが私を変えてくれたと思っています。今まで学んできたからこそ、この卒業論文を執筆することができましたし卒業論文の執筆から学んだことも多くあります。ここまでの卒業論文を私ひとりでは執筆することは到底できませんでした。本論文を執筆するまでにお世話になった方々への感謝をここで伝えたいと思います。

まず何より、宮川先生、本当にありがとうございました。コーポレートファイナンスはもちろんですが、先生からはもっと大切なことを教えていただきました。ものごとを科学的に思考すること、言語化して相手に伝えること、相手の視点に立って思いやる心、自己解放性、自主的に行動を起こすことといった、「人として大切にしないといけないこと」を先生の言葉や立ち振る舞いから学びました。しかし、ゼミに入門した当初は先生とまともにお話をすることができなければゼミ生との議論にも加わることもできず、ただプロジェクトを遂行することに必死だったこともあり、先生の言葉の本当の意味が理解できていない時期がありました。そのためゼミではなかなかうまくいかないことがありましたが、そのような私を見捨てず先生は声をかけ続けてくださりました。先生からいただいたお言葉に勇気づけられることもあれば、私の間違いを気付かせてくださることもあり、先生が私たち学生に全力で伝えようとしてくださる姿勢が嬉しかったです。そして先生と笑顔で会話できるようになったことが私は何より嬉しいです。大阪市立大学で宮川先生の下で勉強できたこと、勉強した時間は私にとっては誇りですし、これからの人生を生きていく上で一番の武器になりました。ありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。

次にゼミの同期、先輩、後輩へ感謝を伝えます。同期は大学生活での喜びや苦しみをともにしてきた仲間といえる存在です。私自身の自己解放性の低さが原因で仲良くなるまでにかなりの時間を費やしてしまったことは少しもったいなかったと思いますが、ここまでの関係を築くことができたのはこのメンバーだったからだと思います。特にチーム研究で企業分析と CORE 論文を一緒に成し遂げた亮太、はる、千織には感謝しています。はるは自身のスキルと優しさを最大限に生かして周りに気を配りながら研究を進め、理解できない他のメンバーにはわかるまで丁寧に教えてくれました。千織はみんなで練り上げて考え尽くしたアイデアのほんのわずかなほころびを見逃さず確実に発見してくれました。そして一番長く一緒にいた亮太は自身に自信があることから他人である私に対して間違っていると思うことを指摘してきました。正直初めは「何をずけずけと偉そうに言うてるねん」と少しイラッとしましたが、落ち着いて考えてみるとその内容が私ひとりでは気がつかないような的を射ていることばかりだったので耳を傾けるようになりました。この 3 人は私にはないものを持っていて、それによってチームをいい方向へ向かわせていました。しかし、私はチームの力になることができていると思えることがないように感じていました。チーム研究が終わったときにはやりきったという達成感はありましたが、もっとチームに貢献できたのではないかとも思っていました。そのようなことがあったので卒業論文のテーマをファミリー企業に決めて再びファミリー企業の勉強をしているうちにチームで研究していたころの思いがふつふつと沸きあがってきて、今度は自分ひとりで 3 人を超えてみせると自分に言い聞かせて研究に没頭していました。3 人がいなければこの卒業論文は執筆できませんでした。ありがとう。

私は先輩にも恵まれていました。今ゼミで笑っていられるのは 5 期生の先輩方によくしていただいたおかげですし、先輩方の影響で変わることができたところがいくつもあります。そしてこれまで宮川ゼミを繋いでこられた OB・OG の先輩方が残してくださった環境やゼミに対する意識が私にとっての手本となりました。ありがとうございました。7 期生の後輩にもかなり助けられました。7 期生のサブゼミに乱入しても嫌な顔一つせず席を空けてくれることに甘えて長時間居座って他愛もない話をしていました。私からアドバイスをしてあげた記憶はありませんが私にとってその時間がすごく楽しかったです。「5 期生の先輩方がいた居心地のいいゼミを次は自分が後輩につくってあげたい」と 5 期生の卒業式で言ったのですが、逆に居心地のいい空間をもらっていたのは私でした。ありがとう。

最後に私を見守ってくれた両親に感謝を伝えたいと思います。ここまで育ててくれた父と母には感謝しています。2人の努力のおかげで私は今まで何ひとつ不自由なく勉強することができました。ありがとうございました。何かと心配させることも多かったとは思いますが、両親からもらったものとゼミで学んだことをこれからは社会で強く生きていこうと思います。

これまで私をささえてくださったみなさん、本当にありがとうございました。

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