無借⾦状態の企業に関する実証分析

論文要旨

 本論⽂では、⽇本の製造業において、成熟段階に位置する企業が無借⾦化するという仮説を構築し、⼆項ロジスティック回帰分析を⽤いて実証研究を⾏っている。
 無借⾦企業とは、有利⼦負債を全く持たない完全無借⾦企業、または企業の現⾦保有額が有利⼦負債額よりも⼤きい実質無借⾦企業のどちらか⼀⽅を満たす企業を指す。そのような無借⾦企業が、現在の⽇本の製造業において年々増加しており、2017年には、 ⽇本の製造業の半数以上が無借⾦企業となっている。また、無借⾦企業のうち、ほとんどを実質無借⾦企業が占めていることがわかった。
 なぜ、現在の⽇本において、実質無借⾦企業が増加しているのだろうか。その原因として、筆者は、現⾦保有額の増加によって、実質無借⾦企業が増加していると考える。
 Myers(1984)のペッキングオーダー理論では、企業は資⾦調達⼿段として、最も内部留保を好み、次に負債を選び、最後に増資を選ぶと述べられている。このペッキングオーダー理論に則った場合、企業が新たな投資のための資⾦として内部留保を好むため、配当として還元せず、内部に資⾦を貯めこむのではないかと考える。
 また、現⾦保有が⼤きくなる企業として、成熟段階に位置する企業が考えられる。 Grulloon/Michaely/Swaminathan(2002)では、成熟企業の特徴として、成熟企業は安定してキャッシュを稼ぐことができると述べられており、現⾦保有額が⼤きくなりやすいと考える。ここから、筆者は成熟企業が無借⾦化するという仮説を構築し、売上⾼成⻑率や ROA、DOE、社歴といった指標を説明変数として⽤いて検証を⾏っている。
 結果として、売上⾼成⻑率が統計的に有意低かったことから、成⻑率が鈍化している企業ほど無借⾦化しやすいということがわかり、仮説を⽀持する形となった。⼀⽅で、 収益性に関してはROAが⾼い企業ほど無借⾦化することが有意に検証された。

あとがき

 はじめに、卒業論⽂の執筆にあたって、時間を割いて親⾝に相談に乗ってくださった宮川先⽣にお礼を申し上げたいと思います。私は企業の資本構成に関する論⽂を書きたいという思いはかたまっていたものの、仮説の設定をするまでに数ヶ⽉かかってしまい、ランチやゼミの時間に先⽣にどうしたら良いのか相談することが多かったように思います。最初は平均の差の検定を使ったファクトファインディング形式の論⽂にしようかということも考えていました。しかし、先⽣とメタセコイアでランチしているときに、無借⾦企業の売上⾼成⻑率が低いということに気づき、そこからこの論⽂で設定した「成熟企業が無借 ⾦化する」という仮説に辿り着きました。仮説がシンプルが故に、私⾃⾝迷⾛していろんな論理を⽴ててしまっていましたが、その都度先⽣が「この論⽂の問いと答えは何?」と仰っていました。その意味を論⽂執筆活動の終盤になってようやく理解することができたように思います。確かに論理⽴てて説明することは⼤切だけど、証明していないこと、できないことを論⽂に書いてはいけない。問いに対する仮説を設定し、それを証明するようなモデル式を作り、その結果をもとに仮説が整合的であったかどうかを述べる。シンプルなことだけど、それを忘れて⾊々付け加えて蛇⾜な論⽂にしてしまっていました。格式のある論⽂にするなら、読んでいる⼈が⾸をかしげることなく、最後まで読み終えることが できるような⽂章でなければいけないということを、⼼から理解できたことが論⽂執筆をしていてよかった点だと感じています。
 次に、⼀緒にゼミを楽しんだ7期⽣のみんなにも感謝の気持ちを述べたいと思います。 ⾃分⾃⾝、あまり学業を真⾯⽬にしてきたような⼈間ではないので、みんながテキパキいろんなことをこなしていったり、ゼミに取り組む姿を⾒て本当に刺激になっていました。 みんなに負けないようにいろんな知識をつけたい、ゼミの時間も常に発⾔できるようにしたいって思えたのはこのメンバーが同期だったからだと思います。そして、本当にいい⼈ばかりで⼀緒におって楽しいと思えたことも⼤きかったかなと思います。
 さいごに、両親に感謝を述べたいと思います。この⼀年間、学業も部活動も思いっきり楽しめたのは両親が家のことをしてくれていたからだと思っています。これから社会⼈になって、よりありがたみを感じることになるとは思いますが、今でも感じています。本当にありがとうございます。 
 ここからはゼミの時間についてこれまでを振り返っていきたいなと思います。
 はじめに、宮川ゼミに⼊ることが決まった時は本当に嬉しくて、これからどんなことが学べるんやろってワクワクしていました。そこから3回⽣の春になるまで、科学的思考論を学んで、ERチームで発表の準備もしました。今思うと、めちゃくちゃ遠い過去のように思えて、それだけこの2年間が充実していたんやなと感じています。そこからコーポレートファイナンスの輪講、ディベート⼤会、企業分析と盛りだくさんでそこからいろんなことを学びました。⼈に伝えることの難しさ、データの扱い⽅、話し⽅、今も全然⾝についていないことはありますが、少なくともこれらの経験を積むことでマシにはなったなと思っています。12⽉は3ファクターモデルの結果が全く出なくて、1⽇中パソコン叩いて22時まで学情に残って、帰ったら⽇をまたぐまで家の近くの道路で⾛って⾃主練するような⽇々を送っていて、今じゃ考えられないです。
 そんなこんなで4回⽣になって、就活になって、周りの友達は気が滅⼊っていたけど、 ⾃分は激動の⼀年を乗り越えたんやからって⾃信を持って就活をすることができました。 周りにはよく⼩⼼者とか⾃分に⾃信なさすぎって⾔われるけど、案外⾃信あるのかもしれないです。決まった時の安堵はひとしおで、受かったことが決まってすぐ先⽣に連絡しました。就活を通して、こんなにゼミ⽣の進路真⾯⽬に考えてくれる先⽣おらんなって本当に思いました。いい報告ができてよかったです。
 そこからはあとがきの冒頭で書いてたような苦戦を強いられながら卒業論⽂を書き上げました。
 これからはゼミの時間がない⽣活を送るわけで、先⽣もゼミ⽣もいつも⼀緒にいるわけじゃない環境になります。そんな中で思い出したいなって⾔葉が⾃分にはあって、それは先⽣が宮⾨会で仰る「ゼミ⽣の出世を望んでるわけじゃなくて、ただ幸せでいてくれたらそれでいい」という⾔葉を忘れないようにしたいなって思っています。何気ない⾔葉かもしれないけど、⾃分はそういってくれる⼈がいるって恵まれているなと感じています。将来⾃分が今の会社を続けているのか、はたまた⾃分のしたいことをして⽣きているのか、それは正直わからないですけど、とりあえず幸せだと感じれる⽅に流れて⽣きていきたいと思います。
 ⻑⽂かつ、駄⽂にはなってしまいましたが、これにてあとがきを終えたいと思います。 さいごに、もう⼀度感謝を述べて締めくくります。宮川先⽣、ゼミの先輩、同期、後輩、 両親、本当にありがとうございました。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメント

お名前 *

ウェブサイトURL