割引現在価値と別れ話への対応策

オンラインのゼミはなかなか元気出ませんが、それでも輪講は早くも第4章までが終わりました。いろいろとややこしいトピックや難しい事例がたくさんありましたけど、割引現在価値というものがあって、ファイナンスではそれ以外のものを価値と呼ばないんだということまでは何とか頭に残ったはずです。

計算の仕方は覚えなくても本のどのあたりに書いてあったかを知っていれば構いません。必要な時に本をめくればそれでいいんです。キミたちはこれまで公式が出てきたらそれを覚えて問題を解くトレーニングを積んできたと思いますが(もちろん覚えておくに越したことはないですけど)、ゼミではそれ以上に大事なことがたくさんあるし、実務というのはそういうものです。

ずいぶんと大雑把なことを言うと、モノの価値をどう評価すればいいかがこれまでのお話でした。モノの価値は、それを手に入れるためにかけた費用やそれを作るためのコストで決まるのではありません。それらはすべて過去の話。過ぎ去ったことは忘れましょう。問題はそれを手に入れてから将来の話です。これから先どんなイイコトが起きるのか、それによってモノの価値が決まります。

イイコトは将来の話ですから、本当に実現するかどうかはわかりません。その不確実性のことを「リスク」と呼びます。イイコトを分子にしてリスクを分母にすれば割引現在価値が計算できます。イイコトが大きくなれば(分子が大きくなるので)価値は上がり、イイコトが起きる不確実性が小さくなれば(分母が小さくなるので)価値は上がります。よくできてますね。

ファイナンスでイイコトは現金に換算します。株を買ってから起きるイイコトは配当として現金をもらえることです。だから将来の配当をリスクである資本コストで割ると株価になります。これが「配当割引モデル(DDM)」でした。そして、配当の代わりに分子を企業が稼ぐフリーキャッシュフローにしたものが「割引キャッシュフローモデル(DCF)」でした。

もらえるお金や稼ぐお金が先になればなるほど価値は低くなります。先のことはどうなるかわかりませんから当然です。そこで、たとえばもらえるお金が3年後になるなら、分母は(1+資本コスト)を3乗して割ります。こうすれば分母が大きくなるので価値は下がります。これが割引現在価値の計算でした。はい、こんなところです。

輪講ではこれから先、では企業はどうすれば価値を高められるのか、資本コストはどうやって計算されるのか、そんな具合に進んでいきます。

ファイナンスは過去を振り返るなと教えています。これ、大事なんです。過去に支払ったコストを取り戻そうとするとロクなことになりません。出て行ったものは出て行ったもの、いま考えるべきはこれからどうするか、です。しばらくすれば基本書に出てきますが、過去に支払った費用のことを経済学ではサンクコストといいます。

彼女に新しい彼氏ができて別れ話が出た時に、これまでバイト代つぎ込んで誕生日にはプレゼントしたし、高いレストランには連れて行ったし、USJのチケットもコンサートのチケットも全部オレが支払ったのに、ここで別れてなるものか!なんてモメてはいけません。過去のことは過去のこと。きっぱり別れて彼女の幸せを祈りましょう。そして新しい恋を探しに街へ出かけましょう。緊急事態宣言が終わってからね。

割引現在価値と別れ話への対応策 への6件のコメント

  1. 川合優奈

    今週もゼミありがとうございました。
    感想は、「案外分かるかも!」「いややっぱり分からん!」です。今週はレポーターであったため、担当箇所のレジュメを作成していくわけですが、案の定苦戦しました。よく分からない式、馴染みのない概念とにらめっこでした。そんな状態でしたが、何回も読むうちに、2周目改めて読んでいくうちに、微かでも点と点が繋がったり、新たな疑問が浮かんできたりと、分かってきた気がしました。しかし、実際ゼミでは、ここはこうだと事前に確認していても、話しているうちに分からなくなったり、自分の理解や考えが浅かったり勘違いだったりでした。ゼミで使われている本は難しいとはいえ、分からないこと、自分の出来なさにはやっぱり悲しくなったりもしましたが、みんなで考えを共有し、議論しながら答えを導いていく楽しさが分かった回でもありました。自分1人では、糸口が見つからなくても、人からのツッコミや意見で気付きを得たり、分からなかったことが紐解かれていくのが楽しかったです。
    大学生までコーポレートファイナンスは聞いたことすらありませんでしたが、実生活への教えのようなものが多いのではないかと感じました。初回ゼミの「現在の投資が将来の利益を生む」、今回の「ものの価値はここから先どんなイイコトがあるかで決まる」。例えば本を買うのも化粧品を買うのも将来の自分への投資であり、どんな利益がどのように得られるかは分かりませんが、今何もしなければ将来は変わらない。過去は過去でしかなく、これからの未来のことを考える。その未来を変えられるのは、今どうしていくかであるので、日々精進していきます。
    来週からもよろしくお願いします!

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    1. 大村 優波

      この内容、全然ブログ1本分書けちゃうよ笑
      気付きとか学び、ファイナンスを学び始めた自分がいま何を感じて何を考えたか、って後で見返すといい復習になると思うから次からは是非コメントじゃなくて記事に書いて見て欲しい!

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      1. 川合優奈

        お久しぶりです。
        分かりました!ありがとうございます。
        積極的に発言して、話しているうちに理解が深まる体験もたくさんしていきたいと思います!

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  2. 杉山聡一

    先生、オンラインのゼミで不完全燃焼なんだろうなと察しました、杉山です。

    川合さんも言うてますが、ファイナンスは本当に実生活への教えが多いですね。割引現在価値を自分に重ね、時間を自由に作れる今のうちにもっと学ばねば。
    レポーターの時、緊張したなぁ。あまりに理解できず、焦って先生に質問しに行ったこと、など懐かしくも思い出しました。 

    「ファイナンスは過去を振り返るなと教えています。」グッと来ますね。新しい自分の背を押すサンキューコストですね。…このコメントも振り返りません。

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  3. 菅政成

    今週もオンラインではありましたが、ゼミとても楽しかったです。

    モノの価値は、これから先どれだけのお金を生み出すか、どんな良いことがあるかで決まる。非常に勇気をもらえる教えだと感じています。私事ですがつい最近、人をだめにするビーズソファ「ヨギボー」を購入しました。無一文になってしまう、学生一人暮らしなのに良いのかなどと葛藤したものの、ヨギボーへの期待値が勝り購入しました。僕をだめにするリスクをはらむヨギボーですが、同時に勉強が捗る環境を生み出してくれています。これからのヨギボーライフ期待が高まるばかりです。

    サンクコストに縛られず、これから先も未来志向でガンガン突き進んでいきたいと思います!

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  4. 山口裕健

    少し遅れましたが、今じっくりと輪講を振り返りました。
    毎回オンラインですが、楽しくゼミに参加しています。

    モノの価値についての考え方。過去は関係がないこと。これはもはや名言ですね。思わずメモをしてトイレに貼っています。現在、第5回までやりましたが毎回ゼミに行くと何かしら得ている気がします。先生がこれだけ抑えておけば大丈夫と言った箇所、答えのない問題をみんなで議論して自分の考え方を深めること。ゼミが終わると頭が燃え尽きそうですが、それ以上に満足できるんです。毎回なんともいえない良い感覚に包まれています。

    ちなみに私の現在の心境は、「前しか見えない」です。これからもよろしくお願いします。

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