卒論とはなにか?(4) いよいよ卒論の構成

4.いよいよ卒論の構成

  1. 論文の構成

いよいよ論文の構成です。実際は自由な構成をして構わなくてこうでなきゃイカンということはないのですが、長い歴史を背景に学術論文として最適な構成はほぼしきたりとして決まっています。典型的な卒論の目次を示すとすれば以下のようなイメージです。


1  はじめに

   1      本論文の目的と貢献

   2      本論文の問題意識

   3      本論文の構成

2  ○○○○とはなにか

   1      ○○○○の定義

   2      最近の○○○○○の現状

   3      ケーススタディなど

3  先行研究(本研究が依拠する理論)

   1      主な実証分析とその結果

   2      理論研究の系譜

   3      本研究が依拠する理論

  (第2章と第3章はなるべく一つの章にまとめるといいでしょう)

4  仮説の設定

   1      本研究が依拠する理論

   2      本研究の仮説

5  仮説の検証

   1      メソドロジー(検証の方法)

   2      データセット(サンプルの採集方法)

   3      検証結果の報告・解釈

6  おわりに

参考文献リスト

あとがき

 

2.各章に書くべきこと

 

  1. はじめに:
    研究の目的・意図した貢献・分析結果の簡潔な要約を書きます。研究のバックグランド情報を記述し、研究目的を明示した上で、なぜこの研究が重要なのか、この研究の新しさ=オリジナリティーは何か、この研究によってどんな新しい知識がもたらされるか(と予想するか)などを明確に書きましょう。また読み手が全体像を把握しやすくするために、主要な分析結果についてもテクニカルにならない程度に要約しておくのが普通です。最後に2章以降の卒業論文の構成を示しておきます。読者にとって親切ですね。

     

  2. 関連文献のレビュー:
    過去の関連文献をいくつかのカテゴリーに分類し、それぞれのカテゴリーについて過去の研究の流れを論理的に整理します。文献レビューは、自分の卒業論文が過去の文献との関連でどのような位置付けを持つか、過去の研究群の中にどのような未決の問題があるかを明らかにし、自身の研究の置かれている文脈を明らかにすることを目的としています。つまり、自分が取り組もうとしているテーマについて今のところ世の中では何がわかっていて、何がわかっていないのかを明確にする章です。加えて自分の卒業論文がきちんとした分析テクニックを使用していることを示す目的も兼ねます。

     

  3. 仮説
    理論ないしは何らかの概念的なフレームワークから検証すべき仮説を論理的に導いた上で具体的に記述します。ここで言う「仮説」とは、特定の理論・概念フレームワークによって示唆される、データとの整合性を確認可能な「関心事象に関する記述」です。仮説は一つでも研究として成立しますが、競合する二つ以上の仮説を統計的検証によってどちらかに絞り込むといったスタイルであると研究の意義がより高まることもあります。
    仮説は「企業の利益が配当に影響を与える」
  4. サンプルの収集方法、仮説の検証方法の説明:
    具体的なデータの収集方法やサンプルの特定方法について解説します。予想されるサンプルのバイアス(例、大企業中心、特定の産業への偏り等)についても、あれば言及しましょう。次に、どのような統計的方法によって仮説を検証するか、推定に用いるモデルの特徴、推定方法など検証手続きを詳細に説明します。ここでも使用する検証手続きに考え得る弱点があれば、論文内でそうした弱点について認識していると明記すべきです。この論文を読んだ他の人が、だれでも同じ分析を再現できるよう丁寧に説明しましょう。

     

  5. 実証結果の報告・解釈
    実証結果を表や図などを活用してわかりやすく提示します。実証結果については、単に提示するだけではなく議論し分析することが必要です(得られた実証結果は検証仮説を棄却したのかどうか、過去の研究結果と比べて一貫しているかどうか、もし一貫していなければそれはなぜかなど)。「1.はじめに」に書かれた研究目的や意図した貢献に照らしながら説明します。特に分析結果については、主要な結果を読者にわかりやすく興味深い形式(表の工夫やグラフを活用するなど)で示すことに努め、統計ソフトの出力結果をそのままべた張りするようなことは絶対にしないこと。センスのいい図表を考えてください。

     

  6. 結論
    論文の目的・貢献を再度簡潔に述べた上で、主要な分析結果を記述します。この研究で一体何が明らかになったかをまとめます。絶対に完璧な検証というものはありません。どんな論文にも課題が残っているのが普通です。そこで、この研究の限界について触れ、今後の研究の方向性や課題について示唆します。この研究の限界について自分はちゃんとわかってますよというメッセージを入れておくわけですね。

参考文献リスト:
論文内で引用したすべての文献を参考文献リストに加えます。学生が例年よくやる間違いですが、自分が読んだ文献を書くのではありません。論文内で引用しなかった文献は、参考文献リストには加えてはいけません。また、学術論文には論文内の文献の引用の仕方、参考文献リストの作り方、それぞれの記述方法について詳細なルールがあります。本学経営学会の執筆要綱を参考にしてください。

3. 宮川ゼミオリジナル

 

卒論に「要旨」と「あとがき」を記載することは大学としては求めていませんが、宮川ゼミでは必須とします。どちらも本文とは独立させて、要旨は卒論の冒頭に、あとがきは卒論の最後に加えて下さい。
要旨
要旨は1ページ以内におさまるよう、卒論の冒頭に記載します。研究の主たる目的、仮説、サンプルと分析方法、主要な実証結果を簡潔にまとめます。この次のページから目次となります。

あとがき
あとがきは、論文を書き終えての感想です。2ページから3ページ程度、原則的には、謝辞と後輩ゼミ生へ向けてのメッセージが主な内容です。

まず、謝辞はゼミでの2年間を振り返った上で他のゼミ生に向けて素直に感謝の気持ちを書くようにして下さい。また大学での学びを終えるにあたって、長年サポートしてくれたご家族の方々への感謝も記すべきです。さらに私が言うのはなんですが、指導教員への2年間にわたる感謝のメッセージも記載するのが普通です。ゼミでの思い出なども記載して下さい。他には卒論作成にあたって調査に協力をしてくださった方への謝辞もあれば必要です。インタビューや質問票調査、フィールドワークなどで時間を割いてくれた方々に御礼を述べてください。

後輩へのメッセージについては、論文を作る過程でどのようなことに悩み、どのようにして乗り越えたのかについて書いて下さい。このような内容は後輩が卒業論文を書く際に役に立ちます。
以上は順番どおりでなくて構いません。アツい思いを述べて涙しながら卒論の最後をしめくくりましょう。

とびらの体裁
卒論の表紙やとびらの体裁もそれらしくするために宮川ゼミでは表紙を中央寄せにして一定のフォントとフォントの大きさに統一します。詳細は別紙を配布します。

 

 

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