本場のビジネススクール体験記

ビジネススクールの講義に参加しました(No.13)

たまになんですが、狂ったように自分を追い込むことがありまして、こちらワシントン大学フォスター

スクールオブビジネスがエグゼクティブ向けに開講する「Global Leadership and Strategy Program」にひょんなことから聴く側として参加することにしたのもそういう動機でした。

知り合いになったこちらの Dean に、一度本場のビジネススクールの講義を見たいもんだとエラそうに語っておりましたところ、ご親切にもこのプログラムに席を取っていただいたのですが、これがなんと 18 名のエグゼクティブのみなさんに交じって 2 週間、朝の 8 時半から夜まで、しかも毎晩眠れないくらいの宿題が出るけど「学生として出られるように手配してやるけどどうする?」というモノでした。いやいや、そこまでのディープさは求めてなくて、ちょっと 1 コマか 2 コマ教室の後ろの方でサラっと見学でもさせてもらえれば十分なんスけど、と言いたいところでしたが、いっちょ久々に死ぬ気でやるかと覚悟しまして、ようやく無酸素運動のような 2 週間が終了いたしました。

英語がダメな私にとっては実に過酷な 2 週間でした。よくみるとプログラムの’PARTICIPANT CRITERA’の欄には「Participants must be proficient in English in order to participate actively in discussions, study group, and to effectively interact with other executive.」とちゃんと書いてありました。よく読んどけよ。

なにしろ本学はビジネススクール歴 100 年に近い老舗です。歴史と実績から言って間違いなくアメリカ西海岸のビジネススクールを代表する一つとして数えられる本学の、いわば「勝負プログラム」ですから、講師陣もオールスター、そりゃもードリームチームによる毎回毎回飽きさせない実に工夫されたド迫力のステージが展開されました。教授陣のみでなくスタッフの方々も含めて相手をとことん楽しませる米国流の演出には参りました。朝食と昼食がつくのですが、これが毎回豪華。週の半ばにはテラスで BBQ。最終日にはステーキのコースランチできちんとしたセレモニーも開催され、立派な修了証とワシントン大学ロゴ入り革張りノートを記念品としていただきました。

講義の形式は人にもよりますが、宿題としてケース中心の pre-reading を大量に読ませて、講義ではそれらを読んでいることを前提にディスカッションによって進められます。講師からバンバン質問が飛び、ビジネスゲームあり、グループワークあり、飽きさせません。パターンは決まっているとは思いますが、講師はかなりの準備をしてきています。前日に問題を解かせて、それを講師にメールで送り、当日にはきちんとした教室のスタッツができ上がっていたりします。写真にあるような形式の教室で、講師はステージを縦横無尽に歩き回り、常にジョークを飛ばして非常に明るい雰囲気で、迫力ある講義は時間を忘れさせます。まさにアメリカのビジネススクールの真骨頂、本格派オーバースローからど真ん中に直球をビュンビュン投げ込んでくるというか、初球からいきなりフルスイングする正統派ストロングスタイルというか、いかにもアメリカ濃度凝縮 100%ジュースを味わった 2 週間でした。講義は教員のパフォーマンスを見せるステージ、という私の信条を裏付けてくれましたが、同時に、そのための努力はこれくらいやらなきゃいかんもんだと感じました。

私の席から教室を写しました。私のサングラスと配布された資料のファイル。ファイルもいいの使ってる。

座る席は自由ですが、いつの間にか暗黙のうちに指定席となり、隣の席はいつも彼でした。通称’God’。遅刻しても悪びれもせず常に堂々と教室に入ってくる不敵な黒人でしたが、とてもいいヤツでした。来月は彼の家に遊びに行くことになってます。

左が朝食、右が昼食。今日のランチはテラスで BBQ でした。これまたタイ料理、インド料理、和食、メキシカン、中華と毎回いろいろな料理が楽しめるよう工夫され、同じ料理は出ません

さて、肝心なことは内容ですが、ここでは詳細を控えます。ただ、私は自分が出た大学院が世界で一番だとひそかに信じて疑っておりませんが、そのかたわらで本場アメリカのビジネススクールはどれくらい先端的な内容を教えているのだろうかというのがもちろん今回の最大関心事です。結論から言えば、かなり安心しました。むかし自分が習ったことも、いま自分が教えていることも、堂々と勝負できる内容との確信を得ました。というか、控えめに言わせていただきますが、教える内容に関して言えば、いま自分が教えていることならずっとレベルが上だと自信を持ちましたので、どうか宮川ゼミの現役学生ならびに OB 諸君、自信を持ってください。ファイナンスの講義を聴きながら「それ、そうやって教えちゃうとダメなんだよなー、ちょっとオレにしゃべらせてくれる?」と心の中で叫んでおりました。

ま、解釈の仕方にもよるかもしれませんが、日本でやっていることは全く遅れていないし、聞いたこともないような先端的な理論で講義が進められているとは感じませんでした。どの科目も極めてオーソドックスな内容です。正直言うと、私からすれば中には、演出はうまいけど内容に関しては「はあ?」ちゅうような講義もありましたが、これも感じ方は個人差なのでここでの詳細は控えましょう。私にとっては「なんだかなー」でも、今回の参加者の満足度はいろいろな理由でおそらく高いと思います。

私はビジネススクールの役割や存在意義について自分なりの考えを持っているのですが、改めてビジネススクールとは一体なんなのかを考えさせられるいい機会となりました。実は、このプログラムの後、講師の何人かに話しを聞くため、果敢にも一人ひとりアポイントを取ってオフィスを訪問しています。私のデタラメな英語で議論をふっかけられて気の毒だなあと思うのですが、にもかかわらず、どの先生も快くご対応いただき、実にご親切に話をしてくださいます。

大学にお金が集まる仕組み、研究者のみでなく大学間、学部間における競争の仕組み、教育と研究のバランス、選抜試験の仕組み、リベラルアーツの実態、研究者の時間の使い方と給与等々少しずつですが、わかってきたことがあります。

本稿は宮川研究室ゼミ生に向けて発信されたメッセージであり、ゼミ生の問題意識を喚起することを目的としたものです。

本稿における観察及び意見は宮川壽夫の主観による個人的見解であって大阪市立大学の考えを代表するものではありません。

Hisao Miyagawa, 2015, All rights reserved

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