経営者報酬というエージェンシーコスト【宋】

 こんばんは。11期生の宋知浩です。

 

 今回第12章の輪講レポーターを担当しました。この章では、エージェンシー問題、報酬、業績評価を扱います。第1章とやや被る内容もありますが、ゼミでは経営者報酬を中心に議論が行われました。

 

 いきなりですが、皆さんは国会議員の年収(ざっくり年収2000万円+各種経費2000万円)が高いと思いますか?私は、議員報酬が世間の「感覚」と比べてどれだけ高くても、その報酬体系が優秀な人を集め、国の利益に資するのであれば、何億円払っても良いと思っている方です。経営者報酬の決め方もこれと共通している部分があると感じます。誰もが気になる経営者報酬ですが、金額的に高いか低いかではなく、どういう報酬体系が企業価値向上にとって最適な解なのか、実に難しい問題です。

 

 固定報酬以外にも、一般的には①業績連動型報酬、②株価連動型報酬が多いでしょう。しかし、これらの報酬体系は、いずれも重大な欠陥があり、経営者と企業の利害を一致させることは難しいと、予てより感じました。特に①については、報酬がマイナスにならない限り、これは経営者に極度なリスクテイクに走るインセンティブを持たせる報酬体系です。なぜなら、事業プロジェクトの期待値がマイナスであっても、経営者にとって、自分の報酬の期待値は常にプラスであるからです。であれば、経営者はハイリスクハイリターンの事業投資を行うことが自分にとって一番「合理的」な行動となります。このことを、レジュメのコメントとして書きました。しかし、「それって、悪いことなの?」と先生に問われ、確かにハイリスク事業を行うことが、必ずしも悪いことでないという視点が自分に欠けていることに気づきました。

 

 後半では、企業評価を行う「プロ」であるはずのアナリストがキャッシュ・フローよりも目先の会計数値重視し、アナリスト、投資家に監視される側の経営者は合理的な投資判断よりも会計数値の見せかけを優先してしまうという不思議な現象が書かれていました。なかなか謎ですが、プロであっても数年先のキャッシュ・フローを予測するのは困難であり、対して、会計数値は比較的に予測しやすいというのが実態ではないでしょうか。

 

 さて、11期生にとって、ゼミ活動が本格的に始まって3ヶ月も経ちませんが、7月からゼミ選考がまた始まります。宮川ゼミの良さを後輩たちに上手く伝えられるよう、頑張ります。

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