CSR活動に関する先行研究レビュー

論文要旨

 本論文の目的は、海外と日本におけるCSR活動に関する先行研究のレビューを行うことである。
 現在、国内外にかかわらず、CSR活動が盛んに行われている中で、CSR活動が企業にもたらす影響に関する研究も多数行われている。しかし、CSRと企業価値の関係に関する研究において、結果が混在している。すなわち、CSR活動が企業価値にどのような影響を与えるかに関しては、明白な答えがない。CSRと企業価値の間に正の関係があると主張している研究がある一方、負の関係があるという結果の研究もある。したがって、本論文は、それぞれの結果に関して、どのような主張がされているかということを問題意識にしている。
 その結果、CSRと企業価値の間に正の関係があるという主張として、多くの研究において、ステークホルダー理論とソーシャルキャピタル理論によって支持されている。具体的には、ステークホルダー理論では、企業がCSR活動を通じて、ステークホルダーと良好な関係を維持することで、企業価値の向上につながると主張されている。そして、ソーシャルキャピタル理論では、企業はCSR活動を行うと、ステークホルダーと信頼関係を築くことで、ソーシャルキャピタルが蓄積され、企業価値の拡大につながると示唆されている。その他、企業がCSR活動を行うと、企業活動のリスク低減と収益性の向上につながり、企業価値を向上させると指摘している研究もある。
 他方、CSR活動が企業価値にネガティブな影響を及ぼすという主張として、エージェンシー理論に基づき、検証を行った研究が多数存在している。それらの研究は、株主と経営者の間にあるエージェンシー関係に焦点を当てている。具体的には、経営者が自らの名声や評判を高めるといった私的便益のために、CSR活動に過剰投資をしてしまい、企業価値の毀損につながる可能性があると示唆されている。その他、CSR活動への投資には、コストがかかるため、企業の収益を低下させ、企業価値にネガテイブな影響をもたらすと主張している研究もある。  以上より、CSRと企業価値の関係に関する見方がさまざまであるため、分析結果が異なることが明らかになった。CSR活動の効果に関して、明白な答えがないにもかかわらず、CSR活動に取り組んでいる企業は多数存在している。その背景は二つあると考えられている。一つは、企業がステークホルダーに配慮し、持続可能な成長を重視するようになったことである。もう一つは、投資家がCSR活動に対する姿勢は積極的になったことである。このように、近年では、企業も投資家もCSR活動に積極的な姿勢を示している。したがって、企業はCSR活動を通じて生じるメリットとデメリットが何かを把握することが重要であり、さらなる研究の積み重ねが必要であると考える。

あとがき

 ゼミ活動が始まった二回生の後期から、本論文を書き上げた現在に至るまでの二年半は、本当にあっという間でした。科学的思考論、コーポレートファイナンスの輪講、ディベート大会、企業分析、CORE論文、三商大+大阪大学合同ゼミ、大阪大学村宮ゼミとの合同ゼミ、そして卒業論文、とゼミ活動に取り組んだ二年半を振り返ってみると、これほどまでに充実した時期はなかったと思います。卒業論文以外のゼミ活動はすべてチームで行ってきたので、正直にいうと、1人で卒業論文を書けるかどうかという不安がありました。その中で、私を支えてくださったのは、宮川先生と宮川ゼミの先輩、同期、後輩のみなさんでした。ここで、卒業論文の執筆にあたっては、また、日本の留学生活においては、大変お世話になった方々へ感謝の気持ちを述べたいと思います。
 まずなにより、二年半ずっと丁寧にご指導をしてくださった宮川先生、本当にありがとうございました。コーポレートファイナンスの知識はもちろんですが、宮川先生からは、あらゆる物事に対する考え方や言葉の使い方、日本のマナーなどたくさんのことを教えていただきました。また、毎回研究室に伺う際に、宮川先生はいつも明るく歓迎してくださり、どんな相談にも乗ってくださりました。特に卒業論文の執筆において、私が一番苦労したところは、自分の考えを文章にし、わかりやすく他の人に伝えるということです。その中で、研究室に伺うと、宮川先生はいつも的確に指摘してくださりました。宮川先生のおかげで、私は充実した学生生活を送ることができ、無事に卒業論文を書き上げることができました。ありがとうございました。
 次に、宮川ゼミの先輩に感謝の意を申し上げます。先輩方にはゼミに入った当初から大変お世話になりました。わからないことがあれば、いつも優しく教えていただき、ありがとうございました。そして、この二年半の間、一緒に勉強したり、遊んだりしていた同期にも感謝の気持ちでいっぱいです。毎回学情に行くと、必ず誰かがいて、みんなの頑張っている姿に何度も刺激を与えてくれました。この二年半の間に、私は同期からたくさんのことを学びました。本当にみんなのことを尊敬しています。同期のおかげで、私は楽しいゼミ生活を送ることができました。ありがとう。
 また、日本語学校の先生方にも感謝しています。日本に留学した最初の一年半の間に、丁寧に日本語を教えてくださり、留学生活での悩みの相談にも乗ってくださりました。先生方のおかげで、私は有意義な留学生活を送ることができました。ありがとうございました。
 そして、奨学金で私の生活を支援してくださったロータリークラブの方々に感謝の気持ちを申し上げます。ロータリーの活動を通じて、たくさんのことを学ぶことができました。ありがとうございました。
 最後に、いつも私を見守ってくれたり、支えてくれている家族に心から感謝しています。そのおかげで、私は自分の好きなことができ、たくさん貴重な経験をして成長することができました。今まで本当にありがとうございました。これから少しずつ恩返しをしていきます。これからもよろしくお願いします。

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