私がいた理想のチーム ~オマツがゼミにやってきた!

私には嫌いな日本語というのが結構あります。「部下」という日本語もその一つで滅多に使いません。なんだか軍隊みたいでカッコ悪くないですか。字義的にも洗練度が低いし、スマートじゃありません。にもかかわらずサラリーマン世界では依然としてよく使われる言葉です。「私の部下の鈴木が・・・」なんて聞くたびにチクリとした痛さを感じる次第です。


そういうわけで、私の投資銀行時代の「部下」だったオマツがゼミに遊びに来てくれました。彼女が私のチーム(IBコンサルティング部「キャピタルマーケットインテリジェンスグループ」と呼ばれていました)に来たのはまだ20歳代でキャピキャピ感をやや残した年齢の頃でしたが、今や一児の母となり、仕事も現在はM&Aのアドバイザーとしてベテランの域に達しています。


ゼミでは私とオマツのトークセッションが1時間ほどあり、オマツが最初に経験したリサーチアナリストの仕事や私と一緒にいたチームでの思い出話、そして現在のM&Aアドバイザーの仕事についていろいろな話で盛り上がりました。ゼミ生は今ちょうどゼミで勉強中のコーポレートファイナンスの教科書に載っている難しい言葉の数々が、オマツの口からポンポン飛び出すのを聞いてどんな感想を持ったでしょうか?そういのってちょっと心躍りますよね。多くの学生は知らないと思いますが、ファイナンス理論は証券や銀行の専門知識ではなく、事業会社にとっても今や必須の知識であることも、ゼミ生はオマツとのトークセッションで理解したと思います。


私が会社員として最後にオマツたちと過ごしたチームは実に理想的なチームでした。まず、メンバーそれぞれの個性が仕事に表現されるチームでした。それぞれが得意技を持ち、同時に弱点を持ち、お互いが相手の弱点を自分の得意技で補うようなチームでした。私から見れば誰がやった仕事かすぐにわかるほどチームの真剣な思いとやさしい心がどの仕事にも宿っていました。


みんな毎日冗談ばかりを飛ばし合い、常にリラックスしていて、しかし目的意識が高く、仕事へのこだわりが深く、そしてお互い容赦なくモノを言う、そういうチームでした。チーム内のミーティングは、全員がしゃべりたくて、全員が自分のアイデアを聞いてほしくて、全員が相手のアイデアを批評したくて、全員がちょっとしたジョークを飛ばしたくて、常に創造性にあふれていました。そして、なにか困ったことが起きれば、あるいはわずかでも不安や不満があれば、すぐに包み隠さず相談してくれるという信頼がおけました。私とオマツの爆笑トークセッションを聞いてゼミ生もその雰囲気を少しは理解したかもしれませんし、同時に少し驚いたかもしれません。


ただし、会社ってこういう雰囲気なんだと勘違いしてはいけません。なにしろ私のチームだけの話ですから。優秀で、勇気があって、遠慮がなくて、ジョークが冴えて、友情に溢れる、そういう奇跡的なメンバーがそろった賜物ですから。そんじょそこらの企業にはありません。私は自由と独創を愛し、序列と硬直を嫌うかつてのチームを出て、大学に来て初めて当たり前と思っていた自分のチームが奇跡であったことを知りました。教職員も学生も私のいたチームの文化とは対極的な文化を持つ人々であることを知り、だから私は宮川ゼミの雰囲気をかつてのチームの雰囲気にしたいと思ったんです。なかなか大変です。学生の協力が必要ですね。

私がいた理想のチーム ~オマツがゼミにやってきた! への11件のコメント

  1. 齋藤豊

     今までの輪講で、純現在価値がこれくらいだから~、IRRが何%だから~、などなど難しい話を話をたくさんみてきましたが、実際どれくらい実務の世界でこれらの考え方を使っているのか疑問に思うことがありました。しかし、オマツさんのお仕事ではこれらの考え方を当たり前のように駆使しているということを知り、驚きとともに期待感が湧いてきました。今どうにか食らいついている難しい考え方を、将来実際に生かして仕事ができるかもしれない!、という期待感です。そのような仕事に就くためにも勉強と就活頑張っていきます!

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    1. 宮川壽夫

      BMA(ブリーリー/マイヤーズ/アレン)に出てきた難しい言葉を敢えて日常的な会話に散りばめて使ってみるというのはどうでしょう?

      たとえば
      友人「来週飲み会やねんけど齋藤も来えへん?○○女子大のコも参加するで。」
      齋藤「○○女子大かあ?オレなあ、IRR20%回収でけへん飲み会には行かんことにしてんねん。その飲み会オレのハードルレート超えれるか?」

      てか、意味わかりませんけどね。

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  2. 藤岡洸喜

    オマツさん、実際の仕事についての貴重なお話ありがとうございました。
    現在学んでいる難しい単語がオマツさんの口からポンポン当たり前のように出てきて、かっこいい!としびれていました。
    しかし、もっとしびれた発言がありました。それは、「なぜそのような数値になるのか、数字の意味を考えなければならない」とおっしゃられていたことです。
    常に「なぜ?」という視点を持ち、現象の理由をはっきりさせなければならないと、ゼミの中で先生がよくおっしゃることが、現場でバリバリ活躍されているオマツさんに非常に重要視されていたのです。
    私はまだ指摘されてから初めて、確かになんでなのだろう、と考え始めることが多いので、なぜそうなるのかという視点をもっと鍛えていきたいと思いました。

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    1. 宮川壽夫

      ゼミで習った難しい言葉を敢えて日常的な会話に散りばめて使ってみるというのはどうでしょう?

      たとえば
      友人「ボート部の○○先輩の漕ぎっぷりカッコエエなあ。ボートはできるし、後輩にはやさしいし、尊敬できる先輩やなあ。」
      藤岡「せやなあ。○○先輩ってなんか正のNPV生んでる感じするわ~。」

      意味わかりませんけどね。てか、漕ぎっぷりとか言うか?

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  3. 杉山聡一

    いいですね!僕が現役の時もオマツさんがゼミに来てくださり、第一線で活躍される方の考え方やモノの見方に、カッコいいと感じたことを思い出しました。
    中華か居酒屋での宴会の後、天王寺に向かう電車にオマツさんと僕だけで、四季報が飛んでくるって本当ですか?みたいな低レベルな質問しかできなかった自分を殴りに行きたいです(笑)
    あの時とは変わったと思うので、また仕事の話を伺いたいと思いました!

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    1. 宮川壽夫

      いや、それはそれで、いい質問かもしれない。

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  4. おまつ

    久しぶりに宮川さん達のゼミで学生の皆様とお話出来て私もとても楽しかったです。
    私も若い時は先輩の経験談等をきいて、とても眩しく感じたり、こんな有難い話をしてくださるなんてなんて後輩思いなんだと思ったりした事もありました。
    今思えばあの先輩達は別に育成のためや後輩を思って話していた訳ではなく、単に話したい事を話していたんだろうなぁ、と分かります(笑)
    私も自分の事を話したいだけ話せてとても楽しかったです!
    好き勝手お話させていただきましたが、それでも何らかの形で皆様の刺激になったという事であれば、更に嬉しさ倍増です!ありがとうございました!

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    1. 宮川壽夫

      Wooow!!!コメントありがとう、おまつ!
      おまつの好き勝手でとことん自由な話、ゼミ生にとって大きな刺激になったと思います。
      またのお越しをお待ちしております。

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    2. 西山花恵

      オマツさん、先日はゼミに来てくださってありがとうございました。先生がとても楽しそうで、ゼミももっと距離を縮めていきたいなとワクワクしました。
      今学んでいることを実際仕事にされている方の話を聞くことができ、そう繋がるのか〜とても刺激になりました。もっと勉強して、次来てくださった時にはオマツさんからぽんぽん出てくる単語を一つでも多く理解して聞けるようになっていたいです。
      また宜しくお願いします!

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    3. 菅政成

      オマツさん、先日はとてもおもしろいお話ありがとうございました。
      最近学習したばかりの難しい言葉たちを巧みに操っていらっしゃっていて本当にかっこいいなと思いました。これが第一線でバリバリ働かれている人なのかと驚嘆しました。先生とオマツさんが所属されていたチームをタイムスリップして見学したいと思いました。あまりの迫力に失神してしまうかもしれませんが…。
      今回の貴重なお話を糧にこれからもガンガン勉強に取り組み、自身の個性も磨いていきたいと思います。
      またよろしくお願いします!

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    4. 出店愛望

      オマツさん、先日はお忙しい中ゼミに来てくださり、ありがとうございました。
      今学習していることがどのように実際に使われているのかを知ることができて、とても刺激になりましたし、第一線で働いていらっしゃる方のお話はおもしろく、「かっこいいな」と思いました。
      楽しいお時間をありがとうございました!また、是非よろしくお願いします!

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