日本企業における財務状態の変遷

論文要旨

本論文は 1986 年から現在に至るまでの日本の上場企業における財務構造の変化を 32 業種に分けて明らかにすることである。1986 年から現在に至るまで、日本はバブル経済やアメリカの IT バブル崩壊、リーマン・ショックなどのさまざまな経済不況だけでなく、阪神淡路大震災や東日本大震災などの災害にも見舞われた。また、消費税の導入や増税、会計制度の変更や、株式持ち合いの解消、外国人投資家の増加など社会の流れにも変化があった。

その中で財務構成にも影響が出ているのかを明らかにするために、百分率貸借対照表と百分率損益計算書を用いて日本産業全体と製造業、非製造業別、業種別にわけて比較した。使用したデータは 1986 年 4 月から 2018 年 3 月に決算を迎える日本の上場企業すべての貸借対照表と損益計算書の値である。

まず、日本産業全体について述べる。貸借対照表においては流動資産の比率が下がっている代わりに固定資産である無形固定資産の比率が上がっていることや、負債比率の中でも特に短期借入金・社債が下がっていることが分かった。また、損益計算書では売上原価・営業原価の比率が下がっていることや、利益率は景気循環と同じような動きをすることが確認できた。

次に製造業と非製造業に分類し、比較すると、同様の動きをしていても比率が違うことが多々あった。流動資産はともに下降しているが、製造業では 1986 年度の時点で流動資産の比率が固定資産の比率に比べ高かったが、非製造業では 1986 年度の時点で固定資産の比率のほうが高かった。

最後に業種ごとに比較すると、だいたいは製造業、非製造業の動きと同じであり、その中で比率が高いのか、変動幅が大きいのか、が業種ごとの判断基準となった。製造業界の中では、固定資産の比率が高い鉄鋼業界とパルプ・紙業界は固定負債も多い。負債比率が高い造船業界と石油業界は、流動負債の比率も高く、さらに売上原価・営業原価の比率も高い。非製造業界の中では、流動資産の比率が高いのは鉱業業界であり、商社業界、水産業界と続いている。固定資産の比率が高い電力業界と鉄道・バス業界は固定負債の比率も高い。負債比率については、年度ごとにばらつきがあり、1986 年度から 1993 年度は商社業界、1997 年度から 2008 年度は空運業界、2010 年度から 2017 年度は電力業界が最も高くなっている。

あとがき

ゼミ活動が始まった 2 回生後期から、卒業を目前に控えた今までの約 2 年間、過ぎてみればあっという間でした。科学的思考論のプレゼンやコーポレートファイナンスの輪講、ディベート大会、企業分析、3 商+1 合同ゼミ、CORE 論文執筆、卒業論文執筆と、たくさんのことに取り組みました。その中でたくさん学び、同時に自分の未熟さにも気づくことができる 2 年間になりました。

卒業論文を書く中で 1 番自分を苦しめたのは自分の甘さでした。膨大なデータを取得するのに時間がかかり、それを加工するのにまた時間がかかりました。その中でデータの欠陥を見つけ、それを埋めるために eol から有価証券報告書を取得し、データを手打ちしていくのに時間がかかりました。そして、もちろん書き終えるまでにも時間がかかりました。しかし、時間がかかるということをわかりながらも、どこかいけるだろうと思っている部分があり、先延ばしにしていることが多かったです。また、もっと早く終わると過信していたことも多々ありました。その中で、わかっていたけど見ないふりをしていた自分への甘さと対峙するタイミングになったと思っています。それぞれの作業に時間がかかっていることにも、先延ばしにしている自分にもイライラしてしまったり、やる気がなくなってしまうことが多く、モチベーションを上げ続けることが難しかったです。そんな中、支えてくれたのはゼミ生と宮川先生でした。

2 年間ともに学んできた 6 期生にとても感謝しています。ゼミに入った当初、全然なじめず、これからやっていけるのかとても不安でした。それでもみんなが優しく接してくれたことがとても嬉しく、今ではかけがえのない仲間だと思っています。そんな 6 期生とだからこそ、たくさんの楽しい時間を過ごすことができたと思っているし、しんどいときも何とか踏ん張って乗り越えてこられたのだと思っています。本当にありがとうございました。

次に、今後財務構造の分析に挑戦する後輩に伝えたいことは、データは早く作ってしまうということです。データができても触っているうちにデータの欠陥が次々と見つかって、作業が止まってしまうので、早すぎるということはないと思います。また、欠陥があってもどこかで妥協する必要があると思います。今回私はギリギリまで妥協しなかったことも、文章を書き始めるまでに時間がかかった要因だと思っています。データは重要だけど、そのデータから何かしらを読み取って、自分の発見をまとめていくことがこの研究の根底であり、面白く難しいところだと思います。

最後に、宮川先生には本当に感謝しています。私はなかなか相談に行かず、たくさんのご迷惑とご心配をおかけしました。それでも、私のためを思って叱ったり励ましたりしてくださり、宮川先生の優しさが身に沁みました。そのおかげで自分の未熟さに改めて気づくことができました。また、ようやく自分の欠点と向き合う決心がつきました。最後の最後までくじけそうになっていた卒業論文を書き上げられたのも先生の励ましやアドバイスのおかげです。本当にありがとうございました。

先生がゼミや講義でしてくださるお話は面白く、興味深いものばかりでした。今まで見たことのない世界をお話の中でたくさん見ることができ、時に深く考える材料となりました。普段何も考えずに聞き流していることに対して改めて考える機会も多々ありました。これからもこの気持ちを忘れずに過ごしたいと思います。

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