日本企業のデリバティブ利用と企業価値への影響に関する実証研究

論文要旨

本研究は、日本企業のデリバティブによるリスク・ヘッジ行動の合理性と企業価値への影響に関する実証研究である。近年では日本企業のデリバティブの利用は上昇する傾向にあるが、企業はなぜデリバティブを用いてリスク・ヘッジを行うのかは、必ずしも明白な回答があるわけではない。外国では 1980 年代から企業のリスク・ヘッジ行動に関する研究は多くなされているが、日本ではまだ少なく、本稿は日本企業に着目した研究である。分析の結果、日本企業のデリバティブの利用は合理的であるが、企業価値への影響については有意な結果が得られなかった。

企業はさまざまなリスクに晒されており、犯罪やテロ、災害などといった数多くのリスク要因があげられる。これらのリスクは企業の損益に大きな影響を与え、企業はいかに適切な対応ができるかは重要な課題であろう。デリバティブはリスクを対応するための主要な手段の一つであり、デリバティブを用いたリスクの管理はリスク・ヘッジと呼ぶ。日本ではデリバティブの利用は年々上昇する傾向にあり、2018 年の契約額は 20 兆円近くにものぼった。

このように企業のデリバティブのリスクヘッジ行動は当たり前のように考えられるが、完全市場の下では個々の企業のリスクヘッジは企業価値を高めないはずである。しかし、現実世界は不完全市場で、税金や取引費用が存在し、投資家も必ずしも完全な投資の分散化ができるわけではない。そのため、デリバティブは何らかの理由で企業価値を高めることも考えられるのである。

本研究は四つの仮説を検証する。一つ目と二つ目の仮説は、通貨デリバティブと金利デリバティブのそれぞれに分けて、日本企業のデリバティブ利用の決定要因について、どういった特徴を持つ企業がデリバティブを利用するか、日本企業のデリバティブ利用は合理的であるかどうかを検証する。仮説検証においては、被説明変数は通貨デリバティブと金利デリバティブを用い、説明変数は規模、成⻑機会、レバレッジ、海外依存度の四つを用いる。

また、三つ目と四つ目の仮説は、通貨デリバティブと金利デリバティブのそれぞれに分けて、デリバティブ利用が企業価値にどのような影響を与え、株主は日本企業のリスク・ヘッジ行動をどう評価しているかについての検証も行う。仮説検証においては、被説明変数は企業価値の代理変数としてトービンの q を用い、説明変数は通貨デリバティブ、金利デリバティブ、規模、成⻑機会、レバレッジ、海外依存度、収益性を用いる。対象期間は、日本企業のデリバティブ利用に関する定量的データの開示が義務付けされるようになった 2010年から今までの 9 年間である。

分析の結果、デリバティブ利用の合理性の仮説検証においては先行研究と適合的な結果がとなったが、デリバティブ利用の企業価値への影響の仮説検証においては有意な結果が得られなかった。

あとがき

この場を借りて、卒業論文の執筆にあたり、また、日本での 5 年半の留学生活において私を支えてくださった方々に感謝の気持ちを申し上げたいと思います。

この卒業論文の執筆において最もお世話になり、2年間も丁寧にご指導をし、私をゼミ生として受け入れてくださった宮川先生に感謝の意を申し上げたいと思います。私はゼミ選考の当初から宮川ゼミを志望していました。その理由は、宮川先生からなら学べることが多いと思ったからです。ゼミ生としての2年間はファイナンスだけではなく、物事に対する考え方、言葉の使い方、そして文章の書き方などといった、これからの社会人生活を迎えるための心構えを多く学びました。また、宮川先生とは一緒にジャカルタとシアトルにも行き、普段ではできないような貴重な経験ができ、素敵な方々と出会いました。宮川先生のおかげで実のある大学生生活を送ることができまた思います。ありがとうございました。

次にゼミでともに学び、ともに遊び、ともに成⻑した同期の永⻑、木岡、小松、齋藤、中尾、永舩、原田、馬場の8人には感謝の気持ちでいっぱいです。この2年間は同期から学んだことが多く、彼らの誠実さや優しさをとても尊敬しています。彼らは心温かく私を受け入れてくれて、そのおかげで充実したゼミ生活ができました。2年間ありがとう。楽しかった。

ゼミの後輩の⻘木、安藤、沖野、北野、谷上、鳥海、⻄尾、藤村、薮田、山中、ビクトリアの 11 人にも感謝しています。こんな優秀でいつも素敵な笑顔をしている後輩たちに囲まれ、ゼミがより一層に楽しくなりました。ありがとう。

そして、丁寧に日本語を教えてくださった日本語学校の先生方の川村先生、田川先生、磯田先生、水落先生、辰馬先生、山本先生、そして清水先生に感謝の意を申し上げます。私はここまで日本語が話せるようになり、有意義な留学生活ができたのは、先生方のおかげです。ありがとうございました。

また、奨学金で支援してくださったロータリークラブ、三菱商事株式会社、そして文部科学省の皆様にも御礼申し上げます。

最後に、故郷からこんなに遠く離れた地にいる私を支えてくれた両親には、言葉で表せないほど心から感謝しています。おかげで貴重な経験がたくさんできました。これから少しずつ恩返しをしていきます。今までありがとう。

他にも数え切れないほど多くの方々にお世話になりました。ありがとうございました。

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