配当政策から見た日本企業の成熟性に関する実証研究

論文要旨

 本論文は、近年日本企業の株主として増加が著しい外国人投資家の投資行動に着目し、その銘柄選考の傾向を明らかにしたものである。ここでは、近年日本企業の配当が増加していることと、外国人投資家持株比率が増加していることの 2 つの事象に注目している。外国人投資家にとって、日本市場の投資対象としての魅力は一体何なのか。これが本論文における問題意識である。
 石川(2010)では、成熟性仮説について「成熟段階に入った企業は魅力的な投資機会が減少し、余剰資金を過剰投資に回してしまう恐れがある。そのため成熟企業は積極的に利益を配当として株主に還元する。」と述べられている。実際にマクロ指標を用いて日本市場を概観した結果、日本が世界と比べて成長性が乏しい段階であることを確認する。 そこで本論文では、成熟性仮説に基づいて「外国人投資家は日本が成熟段階であると評価しているため、企業が得た利益を事業に再投資することよりも、配当として支払うことに魅力を感じている」と仮説を設定する。
 分析の対象企業は金融業を除き、2012 年~2017 年に継続して東京証券取引所第一部に上場している企業である。またサンプル期間中に一度でも赤字となった企業や、外国籍の事業会社が親株主兼筆頭株主として存在している場合には該当する企業を除き、1,128 社をサンプルとする。それらを外国人投資家比率が高い順に並べた際に、上位 25%にあたる282 社を 1、下位 75%にあたる 846 社を 0 とするダミー変数を用いて重回帰分析を行う。
 その結果、外国人投資家比率が高い企業は外国人投資家比率が低い企業に比べて、配当が当期純利益により強く連動することが明らかになった。これは統計的に有意であり、本仮説を支持する結果である。

 

あとがき

 宮川ゼミで学んだこと、ここで過ごした日々は、私にとって宝物です。毎週水曜日のゼミや企業分析、卒業論文など、私はゼミ活動に夢中で取り組みました。充実したゼミ生活を送り、卒業論文を完成させることが出来たのは、宮川先生の熱心なご指導や先輩、同期、後輩、そして家族の支えがあったからです。お世話になった方々に感謝の気持ちを述 べて、本論文のあとがきとします。
 宮川先生のもとに弟子入りしたことで、私の人生は大きく変わりました。なぜならコーポレートファイナンスはもちろんのこと、先生からは人生において大切な事を数多く教わったからです。人に物事を伝える時は、自分の言葉に責任を持つこと。事象を説明する時は、因果関係を明確にすること。屈託ないコミュニケーションで、相手を思いやること。これらの先生から学んだことは、胸に深く刻まれています。
 宮川先生の研究室も、私にとって思い出の居場所です。扉を開けると「お~、よく来たねぇ。」と歓迎してくださり、どんな質問や相談でも一緒に真剣に考え、アドバイスをくださいました。研究室の居心地が良すぎるあまり、3 時間近く居座ることが何度もありました。企業分析や就職活動の時期には、みんなの前では強がって平気なフリをしても、研究室に来て 1 人で話しているとポロポロ涙が出てきて、私は苦しい事がある度に先生に慰めてもらいました。同期の中でも私が一番研究室で泣いて、笑って、お喋りして、お菓子を食べた、とても濃い時間を過ごしたと思っています。
 こうして 2 年半を振り返ると、笑いあり、厳しさもあり、先生との色んな思い出が頭の中を駆け巡ります。ただひとつ、それらの思い出に共通して言えることは、先生は学生に対する愛に満ち溢れていたことです。全力で私達を愛し、指導してくださり、本当にありがとうございました。
 宮川ゼミの歴代の先輩方にも大変お世話になりました。ゼミで活発に議論する姿や社会で活躍する姿に憧れ、尊敬しています。特に、6 期生のはらはるさんからは、テーマに関する文献、データの検証方法に至るまで、沢山のアドバイスをいただきました。「面倒くせぇな~。」と言いながらも、後輩のために手を尽くしてくださる優しさに、何度も甘えてしまいました。直接言うのは照れくさいですが、本当に感謝しています。
 7 期生の同期である、おずん、ちゃっか、さきちゃん、はるぽん、まーちゃん、ほのほの、ビクトリア、たいが、ヤブ、鳥ちゃん。皆のことが大好きです。学情に行くと誰かがいて、就職活動から卒業論文、どうでも良いような話まで、皆とワイワイ盛り上がる時間が楽しかったです。社会人になってからも、この関係を大切にしたいと思っています。
 特にダイドーの企業分析チームは、約 9 カ月間共に悩み、励まし合い、奮闘した日々を送りました。研究の方向性に迷い、夏休みに様々な文献を読み漁ったこと。夜遅くまでCORE 論文の構成について口喧嘩近い議論をした事も、今ではいい思い出です。私は人に頼れない性格が邪魔をして、ゼミに入る前はチーム活動が苦手でした。でも、異なる考えを持つ人と議論することで刺激を得る楽しさや、仲間を信頼する大切さは、皆に教えてもらいました。本当にありがとう。
 また、大学生活最後の 1 年も後輩達のおかげで楽しかったです。時には夜遅くまで飲み歩き、ゼミについて語り合ったね。「えみさん!」と頼ってくれるのはとても誇らしく、普段のゼミでも後輩の発言から学ぶことが沢山ありました。
ここで後輩に向けて、卒業論文を書く上で徹底すべし谷上流卒論四カ条を伝授します。
一、書く過程で学ぶべし
 卒業論文は、書き終えて卒業することではなく、書く過程で学ぶことを意識して取り組んでください。テーマを決める上では興味のある文献を出来る限り読み、執筆する上では注意すべき言葉の使い方など、時間をかければかけるほど学ぶ範囲が広くなります。 結果なんてどうでも良い。大事なのはプロセスだ。と、先生は何度もおっしゃっていましたが、本当にその通りだと思います。やらされているよりも、自ら考えて学ぶことを意識すると、より実りのある 1 年になります。
二、計画的に行動せよ
 卒業論文は、なかなか思い通りに進みません。必ずどこかで壁に当たり、悩む時間が必要となります。そのことを頭に入れた上で、完成させるまでのスケジュールを計画してください。7 月までにコーポレートファイナンスをもう一度めくり、自分の興味のある研究テーマは何なのか、ピンと来るものを探しましょう。問題意識は簡潔に、一言で表せるものが良いと思います。  夏休み中にはデータをある程度完成させてください。取得したデータを統計にかける段階まで処理するのは、エクセルに慣れてない人だと何日もかかります。VLOOKUP やMATCH 関数などのエクセルの基礎知識はノートにまとめておくと、一度失敗しても繰り返し一人で作成できるようになります。最も時間がかかったのは、外国籍の会社を手作業で除く作業です。夏を制する者は卒論を制すると考えて、夏休みには時間を要するデータの作業に取り組んだ方が良いと思います。
 10 月は仮説と論理構成に穴がないか、練り直します。ここは時間をかけて、悩んでも良い時間だと思います。11 月までに書き始め、12 月前半には完成させる気持ちでいると、後半は締切日に追われずに集中して取り組むことができます。
三、データのチェックと整理整頓は怠る勿れ
 私は幾何平均変化率と負債比率の簡単な計算式の入力ミスを見落とし、夏休みの 2 週間を無駄にしてしまいました。こまめに基本統計量や相関関係を出し、データに偏りやバラツキがないかのチェックを怠らないでください。
 また、最終チェックをする際に USB の中に類似データがいくつも存在していると、どれがいつ作成したデータか判断できなくなります。データには一目で作業日と内容が分かるタイトルをつけて、卒業論文で使用するデータを整理しておくと、執筆する時に楽になります。また USB だけではなく、Google ドライブなどクラウド上にデータを保存することをオススメします。
四、頻繁に先生に相談すべし
 進捗状況を先生に報告し、悩み事は早くから相談しましょう。先生と会話を重ねて自分のアイデアが固まり始めると、純粋に勉強が楽しいと思い始めます。こんな贅沢な時間は、もう無いと思います。
 卒業論文の仮説ですが、実は夏休みの時点では全く違うものでした。データが完成した後の 10 月第 1 週目のゼミで先生からアドバイスをいただいて、今の仮説になりました。私はこの仮説がとても気に入っています。でも、自分だけで仮説を立てて卒業論文を書くなんて、絶対出来ませんでした。先生は必ず、学生に救いのアイデアを与えてくれます。
 これらの谷上流卒論四カ条ですが、一と四は特に守ってください。これらを意識し、行動するかどうかが、卒業論文の完成度を大きく左右すると思います。
 最後に、ここまで私を育ててくれた両親に感謝の気持ちを述べます。大学で 1 人暮らしを始めてから、どれだけ恵まれた環境で育てて貰ったのかを知りました。何時間もかけて実家の和歌山から車で送り迎えをしてくれる父と、毎日「おはよう」と「おやすみ」のメッセージを欠かさず、頻繁に大阪まで会いに来てくれた母。これらの両親から受けた愛情と教えを胸に、社会人になってからも頑張ります。
 これまで沢山の方に支えられて生きてきた私は、本当に幸せ者です。これからはお世話になった方々に、幸せを還元できる人間になりたいと思います。 

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